医師の診断
先生との会話
先生は私を見てなにやら呟きながら、メモを書いていきます。
それが一段落したのちに、
と言われました。
ようやくわかる言葉が発されましたが、どう返していいのかわからずに「はあ」と答えます。
自分の貧血の原因が仕事にあるとは思っていませんでしたが、忙しいと貧血になりやすいのは、ストレスが原因かもしれません。
気虚と胆経
気虚
「キキョだね」と言われたので、驚いて「キキョウ?」と聞き返しました。
以前親がかかった、肺に穴が開いて呼吸困難に陥る「気胸」という病気かと焦りましたが、それとは別もの。
漢字にすると「気虚」と書きます。
身体に必要なエネルギーが不足した状態で、体がだるく、やる気が出ず、疲れやすい症状が出ます。
胆経
「あと、左タンケイが弱ってるね。針灸するときに覚えておいて」と言われました。
タンケイがどこを指すのかわかりませんが、身体の左側のパワーが落ちているようです。
東洋医学専門用語は、わからない言葉ばかり。
知識があれば先生の診断も理解できると思い、わからない言葉を紙に書いてもらい、あとで調べてみました。
胆経とは
タンケイとは「胆経」のことでした。
「胆経」とは、目尻から足の薬指までほぼ全身にわたって身体の側面を流れる経絡(けいらく)のこと。
栄養の配分を司り、消化腺の働きによって、全身の気血(エネルギー)のバランスをとっています。
経絡について
「経絡(けいらく)」は、エネルギーである「気血」の流れる通路のこと。
経絡は、目尻から足の薬指まで続く「胆経」やあばらの下から足の親指までの「肝経」など、全身に12本あります。
経絡上の要所にツボ(経穴)があり、そこを指圧すると経絡を通る気血のめぐりがよくなります。
ノータッチの診察
先生は、聴診器を使った診察をしませんでした。
と言われて、舌の診察はしましたが、顔に手を置いたり、瞼の裏を診ることもしません。
不思議な時間が続くため、勇気を出して
と聞いてみました。
当然という顔で、こともなげに答える先生。
「へえ~!」
あっさり肯定されて、改めて驚きます。
医師は、顔色や顔つやで病気の度合いが分かると聞きますが、実際に目の当たりにすると、占い師やマジシャンのようでした。
患者の「気」で判断
先生はさらに
と言われました。
ミラクル!仙人や魔女のレベルですね!
先生は、その人の発する「気」で、どんな症状なのかがわかるのだそうです。
「処方箋を出しておくから」と言われ、結局聴診器は使わずに目視のみで診察終了。
狐につままれたような気持ちで、病院を後にしました。
何もわからないまま受けた漢方診断は、言われたことも謎だらけで、魔法使いに会ってきたような気分になりました。
皮膚接触は一切なかった診察。
100%、見た目のみでの判断ですが、これも医療なんですね。
不思議です。アジアン・ミステリー。
処方の結果
医療かそうでないか
先生のお話を聞いた時には(ワー、スゴイ)と思いましたが、日がたつにつれて少しずつ冷静になってきました。
あまりにも不思議体験すぎて(あれで医療と呼べるの?)とモヤモヤするため、中国に詳しい友人に聞いてみることに。
ヤブどころか、ベテランの先生じゃない?」
4種類の診断法
後日、漢方には「四診」といわれる「問診」「望診」「聞診」「切診」の4つの診断法があると知りました。
① 「問診」:患者に既病歴・自覚症状・痛む部位・食生活・
居住環境などを質問する。
② 「望診」:舌を診察する舌診を含み、顔色・体格・姿勢・
全身の状態を観察する。
③ 「聞診」:声の強弱・呼吸の音・咳の音を聞く。
④ 「切診」:触診したり脈を診る。
ミステリアスな時間だと思われた診察でしたが、お医者さんはきちんと四診にのっとった診察をされていたことが分かりました。
友人がコメントした通り、漢方医はその五感を駆使して診断を行っているんですね。
<!—-「四診」についての詳細は、こちらの記事に載っています。 https://52no.net/eastern-medicine–>
漢方薬の処方
薬局で3種類の漢方薬を2週間分処方してもらうと、かなり大量になりました。
どれもツムラのお薬で、市販されているものばかりでした。
治療の結果
処方された薬をすべて飲み終えた2週間後には、体調は元通りになっていました。
貧血の症状もすっかり抜けて、身体も身軽になっています。
今回は、悪化した貧血の症状を改善するための受診でした。
貧血を根本から完治するには、半年や一年といった長いスパンでの治療が必要になりますが、今回は体内の鉄分を増やし、症状を押さえたところでひとまず終了です。
まとめ
自分の健康管理の中に、生薬で治療する漢方を取り入れたいと思っていましたが、東洋医療はそれほどメジャーではないため、なかなか受診できずにいました。
口コミがないため、ネット上で病院を探すことに。
実際の診療は相当独特で(注・個人の感想です)、先生はヤブではないかと半信半疑になりましたが、怪しむ気持ちをぐっと抑えて処方に従ったところ、体調が戻ってすっかり元気になりました。
「東洋」とは日本を含めた言葉なので、身近に感じますが、「東洋医学」になると、とたんに知らないことだらけになるんだなあと実感した、今回の診察体験。
和漢治療ビギナーですが、終わりよければすべてよし。
また不調を感じた折には、ふたたび東洋医療を受診しようと考えています。
[初回投稿日: 2017年6月8日、後日編集済み: 2020年6月]
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れーちゃんに教えてもらった先生に似てるー☺
ゴエちゃんもレーちゃんも、オリエンタルな先生に診てもらっているのね~。
やっぱりこういう感じなんだ。それなら私も続ける勇気が出るわ(^O^)!!